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22.08.05

STP分析とは?具体的なやり方と事例をわかりやすく解説!

「自社の商品を売りたいけど、どうやって売り出していくべきかわからない」
企業の皆さんはこういった悩みを持つことも多いのではないでしょうか?

そこで、マーケティング戦略を立てる際によく使用されるフレームワークが「STP分析」です。STP分析はたくさんの市場から競合他社がいない独自の市場を見つけるのに効果的で、自社商品のポジションを確立することに役立てます。

本記事では、STP分析について以下のような疑問にお答えします。

・STP分析ってなに?
・STP分析のやり方について知りたい
・STP分析を実際に行って成功した企業はあるの?

STP分析を実践することで、世界的に有名な企業のように「◯◯といえばこの商品」といったイメージを浸透させることも可能です。この記事からSTP分析を理解し、自社のマーケティング戦略に役立ててください。

STP分析とは

STP分析とは、以下3つの単語の頭文字から名付けられた、マーケティング戦略の際に使用される分析方法のことです。

・Segmentation(セグメンテーション)
・Targeting(ターゲティング)
・Positioning(ポジショニング)

上記を順番に行うことで、競合他社が多い市場において、自社の商品やサービスが顧客に対しどのようにアプローチすべきか、明確化し分析する事ができます。

STP分析のやり方

STP分析は、「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の頭文字をとった分析方法とお伝えしました。では実際にSTP分析をする際、どのように進めれば良いかを解説します。

セグメンテーション

まずはセグメンテーションを行います。セグメンテーションとは、市場や顧客をニーズ・性質ごとに細分化することです。細分化することにより、より自社が提供する商品やサービスとマッチする市場などを見つけやすくなります。

実際に使用されるセグメンテーションの主な視点は以下4つです。

人口動態変数 (デモグラフィック変数) 年齢、性別、職歴、学歴、家族構成など
地理的変数 (ジオグラフィック変数) 国、居住地、宗教、慣習、気候など
心理的変数 (サイコグラフィック変数) ライフスタイル、価値観、性格、趣味など
行動変数 (ビヘイビア変数) 利用経験、利用方法、購入頻度、購買状況など

セグメンテーションは、上記のような視点から細分化し、自社の商品やサービスに適したターゲットを見つけるための役割があります。

セグメンテーションについてもっと知りたいという方はこちらの記事をご参照ください。

セグメンテーションとは?ターゲティングとの違いや具体例を解説!

ターゲティング

セグメンテーションで細分化したら、ターゲティングを行います。ターゲティングとは、細分化した市場の中で自社商品のターゲットになる市場を選ぶことです。ここでは、自社の強みが生かせる市場かつ競合が少ない市場を選ぶことが重要なポイントです。

ターゲティングを行う際は、「6R」と呼ばれる6つの要素を考慮してターゲットの選定を進めると良いでしょう。6つのRは以下の通りです。

Realistic scale(市場規模) 市場規模が大きすぎず、小さすぎないかという観点
Rate of growth(成長性) 市場がどれだけ成長しているか・成長性はあるかという観点
Rival(競合) 市場がどれだけ成長しているか・成長性はあるかという観点
Rank(優先順位) 市場の顧客が自社の商品に優先度や関心が高いかという観点。
Reach(到達可能性) 市場の顧客に自社の商品・サービスを物理的距離やインターネットから到達可能かという観点
Response(効果測定) 広告や販促といったマーケティング効果を測定できるかという観点

6Rを使用する際は、個々の要素に注目するのではなく、総合的な視点で捉えることが大切であると考えられています。

ポジショニング

最後にポジショニングを行います。ポジショニングとは、市場における自社商品の位置付けし、顧客に伝えることです。競合他者との差別化を行うために重要なフェーズであり、商品のコンセプトを顧客にアピールすることで、消費者に自社商品を選んでもらいやすくなります。

例えば、「洋服」を売り出す場合、すでに市場にはさまざまなブランドが溢れていますね。その中で自社商品を選んでもらうにはどういったポジショニングが必要か考えてみましょう。

まずポジショニングをする際は「ポジショニングマップ」 を作成することが効果的です。ポジショニングマップとは、市場における各商品のポジションを、縦軸と横軸とからなる座標によって表現した図を指します。

このように競合の立ち位置をポジショニングマップで可視化することによって、自社が参入すべき市場を見極めることができるのです。

より具体的にポジショニングを知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

マーケティングにおけるポジショニングとは?手順や成功事例を紹介!

STP分析の2つの事例

STP分析を用いて、自社商品の売り出しに成功した企業は多数あります。今回はその中から2つの事例を紹介します。

事例①マクドナルド

大手ハンバーガーチェーンとして世界中に店舗を展開しているマクドナルドのSTP分析をみていきましょう。

S(セグメンテーション):価格・品質・客層でセグメント

まずマクドナルドのセグメンテーションは以下3つの軸を元に考えています。

・価格・・・高価格・低価格
・品質・・・国産食材にこだわりがある・ない
・客層・・・年齢・家族構成

マクドナルドといえば、低価格でスピーディーな提供、手軽さからファミリー層・会社員などさまざまな客層に人気がありますね。上記の観点から市場を細分化し、競合他社が未開拓だった市場を見つけることに成功しています。

そして、もう一つ着目したいのが、コロナ禍になってから売上をさらに伸ばしていることです。

出典:日本マクドナルドホールディングス「財務指標サマリー

その背景として、コロナ渦でテイクアウトやデリバリーのニーズが高まったことが挙げられます。軒並み飲食店が減退する中、いち早く「モバイルオーダー」「デリバリー」「ドライブスルー」を取り入れ、マクドナルドは優れたセグメンテーションで売上を伸ばすという大躍進を果たしました。

T(ターゲティング):通勤する会社員・ファミリー層をターゲットに

マクドナルドのターゲティングは特定の顧客ではなく、幅広い客層をターゲットにしていることが特徴です。

例えば、以下のような細かいセグメントでさまざまな顧客のニーズに応えています。

・朝マックで通勤中の会社員をターゲット
・ハッピーセットで子供づれのファミリー層をターゲット

マクドナルドは「提供スピード」と「低価格」に着目し、ハンバーガー業界の市場から「幅広い客層」をターゲットに定め、成功をおさめています。

P(ポジショニング):提供スピード・価格・デジタル化・非接触などでポジションを確立

マクドナルドのポジショニングは「提供スピードの速さ」「お手頃価格」が市場において、圧倒的な立ち位置を獲得しています。そして時代のニーズにマッチした「モバイルオーダー」「デリバリー」「ドライブスルー」などの非接触提供の分野で、独自のポジションを築いています。

従来のポジショニング
・提供スピード
・価格

現在のポジショニング
・デジタル化
・非接触

上記のポジショニングの成功によって、マクドナルドはハンバーガー業界だけではなく、飲食業界において圧倒的存在感を示し、自社ブランディングに成功しているのです。

事例②スターバックス

世界最大のコーヒーチェーンとして人気を誇るスターバックスのSTP分析をみていきましょう。

S(セグメンテーション):利用顧客の属性でセグメント

まずスターバックスのセグメンテーションは利用顧客の属性をさまざまな観点から細かくセグメントしていることが特徴です。

・年齢別・・・10代〜70代くらいまでの世代別
・男女別・・・男性・女性
・職業別・・・学生・会社員・公務員・自営業・ノマドワーカー・高齢者(退職者)
・地域別・・・大都市・地方都市

上記のように、顧客の属性によって徹底的に市場を細分化することがセグメンテーションの成功につながったでしょう。

T(ターゲティング):土地のニーズに沿ったターゲット設定

スターバックスは全国展開していますが、実はその土地のニーズを調査した上で出店しています。

なかでも、大都市・主要都市においては、平均以上の収入を得ているオフィスワーカーをターゲットにしており、職業は、デザイン職や専門職を意識しています。ターゲットに合わせ、おしゃれで高級感のある内装や丁寧なサービスに反映しています。

また、客層は営業時間などによっても異なることに着目し、以下のように時間によってターゲットを設定しています。

・早朝・・・出勤前の会社員・リタイアした方
・昼間・・・主婦・フリーランス
・夕方・・・学生・帰宅前の会社員
・休日・・・家族連れ・カップル

このように利用時間によってうまくターゲットを細分化することで、スターバックスはどの時間帯でもお客さんを確保することができるんですね。

P(ポジショニング):おしゃれだけど落ち着ける「サードプレイス」の提供というポジション

スターバックスは競合コーヒーチェーン店との差別化をはかり、以下のようなポジショニングを確立しています。

・都会的なおしゃれな雰囲気の店で高くて美味しいコーヒーを提供する
・家でも職場でもない第3の自分の居場所「サードプレイス」を提供する

他にもSNS映えする商品やグッズの販売、丁寧で質の高い接客を取り入れることで競合他社と一線を画した独自のポジショニングを獲得することができました。

STP分析で競合他社と差別化をはかろう

今回は、STP分析について具体的な手順と事例をご紹介しました。STP分析とは、企業としての立ち位置を明確化し、競合他社と勝負していくために効果的なマーケティングのフレームワークです。

STP分析についてまとめると以下のようになります。

・STP分析はセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングから構成されるフレームワーク
・セグメンテーションは市場や顧客をニーズ・性質ごとに細分化すること
・ターゲティングは細分化した市場の中で自社商品のターゲットになる市場を選ぶこと
・ポジショニングは市場における自社商品の位置付けし、顧客に伝えること

また、STP分析は以下の理由から積極的にマーケティングの分野で活用されています。

・顧客のニーズを分析できる
・自社商品の強みを明確にできる
・競合他社との差別化ができる

STP分析を活用して、自社の強みを発揮できる立ち位置を探り、競合他社との差別化を狙っていきましょう。

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